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荒馬のつれづれ日記

好きなことを、好きな時に徒然と綴る日記です。

『猫の事務所』

みなさん、こんばんは。

絵本や童話を使うだけで、重たいテーマも

入り口は軽く、感じ方は深くできると思っている荒馬です。

 

今日は最初にご紹介。 

猫の事務所 (日本の童話名作選)

猫の事務所 (日本の童話名作選)

 

宮沢賢治作品は、中学生の国語教科書にも登場します。

オツベルと象』です。

同窓会などで国語の授業の話題になった時に、

「あっ、グララガアのやつは覚えてる」と、割と覚えている作品ランキングの

上位に上がるものです。

 

その作者の作品です。

荒馬にとっては、内容もさることながら、この話は大変思い出深い作品です。

差別・嫌がらせ・愚かさなどがテーマで、重たい雰囲気の内容ですが、

これが人間ではなく、猫だということ、

ラストの場面に衝撃と余韻・読み手の想像が膨らむことも、

そして童話(これは絵本ですが)の中で取り上げていることで、

少しは重たさが緩和されます。

 

 

荒馬が教師に成り立ての頃、当時の勤務校は、

どの学年も荒れが起きている状況でした。夜遅くまで、会議を重ね、

立て直しのために本当に力を合わせて、必死になっていました。

荒れが起きると、生徒指導面に注目しがちですが、

「まずは、それぞれの持ち味を出せる授業を頑張ろう」となり、

生徒指導・部活・休み時間の関わり方を見直しつつも、

とにかく、授業を成り立たせる・魅力的な授業を作るあげるという

テーマでやっていました。

 

荒馬がまず行ったのが、【読み聞かせ】でした。

(せめて最初の10分は全員が集中して、静かな環境を作りたい)

(そのためには…)

当時は、朝読書・10分読書などの活動が始まる前でした。

そして、【読み聞かせ】に選んだ本は、昔話・童話・絵本。

最初は、「俺たちをナメてるのか? ガキじゃねーし」なんて言葉も

多く聞かれましたが、

たった数回で、多くの生徒が興味を示してくれました。

もちろん、寝てしまう生徒もいましたが、少なくとも、

他の生徒の邪魔をし、全体が騒がしい状態はなくなってきました。

 

『猫の事務所』は、読み聞かせに慣れてきた頃に選んだ作品です。

読み聞かせの時間は、感想を求めたりはしませんでした。

とにかく聞いてもらうことが目的。

しかし、この頃になると、自然と感想が飛び交います。

毎回、ノートに書いて提出してくれる生徒もいました。

 

重たいテーマだったのですが、それぞれが感じることを聞いてみると、

教師が説教じみた話を長々とするよりも、

遥かに感じ方に、自由度や開放感が生まれ、

教師の目を気にした模範解答のような感想は出ませんでした。

「絵本って(昔話って・童話って)すごい!!!!!」

荒馬が思った感想です。

 

授業が落ち着いてからも、この読み聞かせは続けました。

10分間で読み終わらない作品を取り上げた時も、

次の授業を楽しみにしてくれ、内容を覚えていてくれます。

週4時間で組まれている国語は、毎日コンスタントに入るとは限りません。

それでも、【読み聞かせ】のおかげで、

教科書の作品を読み取る能力や、

みんなと同じ感じ方でなくても良いんだ・色々な感じ方があっても良いんだ。

という雰囲気が作られていきます。

 

その上で、テストや受験に向けた【共通で押さえる事項】へのハードルも下がり、

全体の学力があがり、授業への集中度も増していったのです。

 

これは、生徒達が作り上げたものでした。

クラス会議を開いたわけでも、共通化したわけでもないのに、

個人が感じ、行動し、それが全体の形になっていったのです。

荒馬は、ただ祈る気持ちで読んでいただけでした。

(今日は抜け出しがありませんように)
(誰かが暴れだしませんように)
(「いいかげんにしてよ」と怒り出す生徒がいませんように)

情けない話ですが、新米教師の荒馬には、

心を揺さぶる話術もスキルもなかったので、祈るだけでした。

 

「次は、何読むの?」 

学年の中で【荒れ】を牽引するメンバーが、授業後に荒馬の所へ来て、

こんな風に聞く機会が増えていきました。

「笑えるのがいい」「ちょっと感動モノ」など、

テーマを出してくれました。

 

十数年後、再会した生徒は結婚し、子どもが産まれている人も…。

「先生が読んでくれた絵本、

  なんか忘れられなくて、俺も(私も)子どもに読んでるさ」と

話してくれました。 とても嬉しくなりました。

 

あの頃は苦肉の策で行った【読み聞かせ】

今は、別の気持ちと目的で行っている【読み聞かせ】

あの【読み聞かせ】があったからこそ、今があるのだと思わずにはいられません。

 

今日はとても長く、熱くなりました。

ちょうど昨日、「先生に出会ったお陰で、今、私は国語の教師をやっています」と

連絡があり、ついつい、その感情も込めて書いてしまいました。